みる「みる」経験のアーカイブ Archive of 'Seeing'Experiences

<「みる」経験のアーカイブ>について

このサイトは、目の見えない人、見えにくい人、見える人、さまざまな立場の人が美術に出会うときに、どんな「みる」経験がうまれているのかを集め、記録し、公開する場所です。
人が美術を「みる」とき、どんな経験、どんな障害、どんなルールが生まれるのか、常に揺れ動く個人と社会の関わりについて、記録を残していきます。
これからの社会のアクセシビリティを考えるすべての当事者、実践者、研究者にとって参考になることを望んでいます。

<語り>について

<語り>には2種類のインタビュー記事をアーカイブしています。

●「みる」経験のインタビュー

目の見えない人、見えにくい人、見える人、さまざまな立場の人に、美術に出会う場での「みる」経験をインタビューするシリーズです。美術を「みる」方法には、目から情報を取り入れるだけではなく、手で触れて「みる」方法や、複数の人が集まって言葉を介して「みる」方法、AIや視覚支援技術を使うなど、様々な方法があります。それぞれの経験は、個人の記憶や経験、他者との関係、その場の環境との相互作用によって変化していきます。その変化のプロセスを丁寧に聴き取り、さまざまな「みる」経験を記録します。

●「みる」場づくりのインタビュー

国内の美術館などでは、目の見えない人、見えにくい人、見える人を含む、さまざまな立場の人が一緒に美術鑑賞をする取組があります。そこには必ず場づくりを担う人たちがいます。その人たちの働きは、記録に残らず消えてしまうことが多いですが、集まった人が安心して安全に「みる」経験をするために必要不可欠な要素です。長く活動を続けてきた実践者の方々に、どんなことを考え、どのようにその場をつくっているのかを聴き取り記録します。

●インタビューで記録するということ

美術を鑑賞には、とてもいろいろな方法があり、その結果として生まれる個人の経験もさまざまです。それをそのまま伝えるために、美術鑑賞を楽しむ人にひとりひとりの経験を対話形式のインタビューで聴くことにしました。日常的な言葉で対話しながら聴き取ることで、まだはっきりと言葉にならないような、迷い、逡巡、余白など、途中のことも掬い取って残していけるのではないか、と考えました。。

<データ>について

<データ>では、2種類の枠組みで情報をアーカイブしています。

●美術館の活動事例

視覚障害者が関わる、国内の美術館・ギャラリー・芸術祭等での過去の事例をリサーチし、年度ごとにまとめて公開しています。リサーチは現在も継続中で、データは随時更新しています。

リサーチの対象としている事例

  • ・視覚障害者を参加対象としているもの
    (公式サイトや告知情報を見て、タイトル・参加対象者・説明文に視覚障害者が対象であると書いてあるかどうかで班別したもの、また、美術館や主催団体から直接聞き取りをしたもの)
  • ・学校の授業や組織内の行事・研修等ではなく、広く一般に募集されているもの
  • ・トーク・講演会形式については、視覚障害と美術に関する話題や、アクセシビリティに関する話題のもの

事例の形式

  • ・プログラム形式(ワークショップ、ツアーなどの少人数で作品を鑑賞、制作したりお話しをするもの)
  • ・オープンデー形式(特別鑑賞日などの、障害のある人が気兼ねなく来館できる用意のある日、もしくは一定の期間・時間帯)
  • ・展示形式(触れる展示や視覚障害者向けの音声ガイド、映像展示など)
  • ・トーク・講演会形式(トークセッション、座談会、講演会、シンポジウムなど)
  • ・鑑賞サポート形式(スタッフが鑑賞に付き添う、デバイスや設備の貸し出しなど)
  • ・常時形式(期間を定めず随時受付し対応しているもの、常設展示など)

※現在、常時形式については年度ごとのまとめと別に公開に向けて作業中です
※空欄の項目は、情報がないものや、調査作業中の部分です

リサーチの経緯

国内の美術館に、視覚障害者を対象としたプログラムの事例は数多くあります。しかし、美術館やNPOなどの主催者が各々で記録するのみで、まとまったデータベースがありません。小さくても地道に活動を続ける事例をリサーチしながら、年代、地域、内容などを一覧できる形で随時公開します。
現在も、リサーチは続いています。情報のお持ちの方は、ぜひ<お問い合わせ>より情報をお寄せください。

●研究のカテゴリ

研究のカテゴリには、視覚障害と文化芸術にまつわるデータを公開していきます。現在は、<視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ>が行う研究プロジェクト<映画・ドラマは視覚障害者をどのように描いてきたのか>で収集した、視覚障害者が登場する映画・ドラマ作品のリストを公開しています。
ここにキャプションが入ります。

<活用事例>について

<活用事例>には、データを活用したイベントや報告、研究報告等の記事を掲載しています。
<データ>には、解釈を含まない生の情報を掲載しているのに対し、<活用事例>には、さまざまな人からの率直な声や考察を掲載します。
ここにキャプションが入ります。

サイトを作るに至った経緯

<「みる」経験のアーカイブ>は、任意団体「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」が中心となって運営しています。視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップは、2012年より全国の美術館などで目の見える人、見えない人、見えにくい人、が集まり、言葉を交わしながら「みる」ことについて考える場を作る団体です。活動の中で一緒に美術鑑賞をしてきた皆さんや、美術館などで場作りを続ける皆さんにお話を聴きながら事例のリサーチやインタビューを続け、アーカイブサイトを運営しています。

一般的に美術鑑賞という行為は、大多数の晴眼者が目を使って楽しむ方法が知られてきました。
しかし近年では目が見えない見えにくい視覚障害者が美術を楽しむ方法は増えており、手で触れて観察をしたり、他者の目を借りながら言葉を通して作品を楽しんだり、AIによる視覚支援アプリを使って情報を取り入れたり、さまざまな方法を組み合わせて楽しむ方法も増えてきた。2016年の障害者差別解消法の施行以来、さまざまな取り組みはすでに全国の美術館に広まっていると言えます。

しかしながら「視覚障害と芸術鑑賞」というテーマについては、今まで中心的に関わる障害当事者が少なかったため、世間一般の人が思い描く抱くイメージとは、著名な視覚障害当事者が自ら述べる固定した障害者像だったり、いまだ健常者規範やエイブリズムにとらわれたメディアが伝える偏った言説がそのまま信じられている背景がある。

視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップの活動では言葉を使って他者とコミュニケーションをとり美術鑑賞する場を作ってきた。その中で出会ったたくさんの人々と話し続けてみて、美術をみる人々の経験とはとても多元的でそのプロセスは複雑でとてもたくさんの経験が日々生まれているということがわかってきた。美術を楽しむ人々の声や、場作りを実践する人の声を集めることで、美術を「みる」経験の複雑さや曖昧さそして楽しさを記録として残すためにこのアーカイブサイトを作ろうと思い立った。

このサイトの運営について

<「みる」経験のアーカイブ>は、任意団体「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」が中心となって運営しています。視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップは、2012年より全国の美術館などで目の見える人、見えない人、見えにくい人、が集まり、言葉を交わしながら「みる」ことについて考える場を作っています。活動を通して知り合った全国の参加者の皆さんや、美術館などで場作りを続ける皆さんの協力をいただきながら、事例のリサーチやインタビューを続け、アーカイブサイトを運営しています。

掲載内容の無断転載・引用禁止について

このサイトに掲載されているすべての内容の著作権は、視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップに帰属します。本サイトの掲載内容(データ、文章、画像等)の一部及び全てについて、無断で複製、転載、転用、改変等の二次利用を固く禁じます。研究等でデータの活用を希望される方は、お問い合わせよりご連絡をお願いいたします。